No.56 ハン(2004/8/30)

 修羅の国第3の羅将。シャチと同じ北斗琉拳の使い手だが、段違いに強く、目にも止まらぬほどの高速の拳を使う。初登場の髭剃りシーンでのやりとりは名場面。

ハン:「このオレにスキあらばいつ喉を掻き切ってもよいのだぞ」
修羅:「ハン様、あなたはそうやって何人の修羅を殺してきたのですか」
ハン:「百人から先は覚えていない」

 このように、少なくとも百人以上の修羅を殺したハンだが、例えばカイゼルは殺していないし、ワインに毒を盛った召使の女も殺していない(このシーンも印象深い)。かと思えば、野心の無い修羅(銀槍使いの西獄派)は殺してしまったし、シャチも防具が無ければ殺されていたのでは? 殺すか否かの基準が不明で、いまひとつ掴みどころが無い人物ではある。

 それはさておき、「この世に命のやり取りほど面白いゲームはない」とまで言い切り、純粋に闘いのスリルを愉しむ姿勢は『北斗の拳』の中でも意外に珍しいと思う。対ケンシロウ戦では善戦したが、結局は敗北し(相手が主人公だから仕方ないよね)、崖から落ちて死亡。もし落ちなかったとしても、やはり秘孔で破裂死したのだろうか。

 ところで、対ケンシロウ戦では、2人の闘気によって周りの岩石が浮き上がり飛び回る。これについて、拳法漫画の枠を超えた“超能力バトル”になっていて興ざめだ、との批判的意見も目にする。私としては、あれは過剰演出の一種だと思いたい。そもそも、北斗神拳の存在からして通常の意味での“拳法”の枠を十分に超えているので、今更リアリティを求めても…と思うのだ。

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