象さんのポット(1983年頃)

としゆき(佐藤利行)(1961〜) ひとし(宮野一志)(1962〜)

「お笑いスター誕生」の生んだ異端児。早すぎた天才漫才師(!?)

 本題に入る前に、私と「お笑い」との関わりについて、少々書いてみます。

 かつて、「漫才ブーム」というものがありました。1980年、フジテレビ系列「花王名人劇場」で放映された「THE MANZAI」という番組が1つの契機であったと言われています。既に大スターであったやすし・きよしをはじめとして、ツービート、ザ・ぼんち、セント・ルイス、B&B、のりお・よしお、紳助・竜介などが一気にお茶の間の(死語気味?)人気者になったのです。この中で当時一番人気があったのはB&Bだと思いますが、私は個人的にはツービートを買っていました。当時小学6年の私は、彼らの漫才を観るためにTVのチャンネルを梯子していたものです。現在のビートたけしの地位を思えば、私の見る目に誤りは無かったと思います。
  時代はかなり下って、「ボキャブラ天国」(フジテレビ)の出演者の中では、爆笑問題を一番買っていました(彼らは会場人気も断トツでしたが)。現在の彼らの活躍ぶりを見るにつけ、私の判断は正しかったと思うのです。
  更に時代は下って「爆笑オンエアバトル」(NHK)でのお気に入りはもちろんテツ&トモ。彼らが登場する回だけは欠かさず観ていました。今後、彼らが息の長い活躍ができたならば(可能性は高いと踏んでいます!)またもや私の眼力の正しさが示されることになります。

 ここからが本題です。再び時代は遡り、1980〜1986年に放映された「お笑いスター誕生」(日本テレビ)も、「オンエアバトル」同様、若手芸人の登竜門的番組でした。出演者は10週勝ち抜きグランプリを目指すのですが、初代のグランプリB&Bをはじめとして、とんねるず、ウッチャンナンチャンなど、錚々たるメンバーがこの番組から輩出されています。
 そして、出場者の中で、私がいちばん好きだったのが「象さんのポット」というわけです。彼らが登場すると、私はテレビの前で笑い転げていたものです。比喩表現ではなく本当に床をのたうちまわりました。実際、会場人気も結構高かったのです。しかし、かなりシュールな笑いだったので、審査員ウケは余り良くなく、特に京唄子さんには嫌われていたようです。
 私にとって、古今東西で一番好きなお笑い芸人が「象さんのポット」なのですが…彼らのその後の活躍(?)ぶりを考えると、実は私のお笑いを見る目は大したことがな…いやいや、彼らは早く生まれすぎたのではないか、と思います。今なら結構受けそうな気もするんですがねえ。

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特別企画:「象さんのポット」のネタをここに再現

「漂泊旦那」さんのpage「『お笑いスター誕生!!』の世界を漂う」から多くを引用させて頂きました。衷心より感謝申し上げます。

[1]
「ところで、動物好きですか?」
「ぼくは、猫が好きで、よく、食べました」
「ぼくは、象さんが好きでよく食べました」
「動物が好きだったんだね」

[2]
「この間、おかしな話がありました」
「ほう、どんな話ですか」
「横浜まで買い物に出かけようとして駅へ行ったら、ぼーっと人が立っている。おかしいな、と思ったけれど、電車に乗って買い物に出かけた。帰ってきてみると、まだぼーっと人が立っている。おかしいな、と思って近づいてみたら……棒でした」
「俺にも似たような話がある。横浜まで買い物に出かけようとして駅へ行ったら、ぼーっと人が立っている。おかしいな、と思ったけれど、電車に乗って買い物に出かけた。帰ってきてみると、まだぼーっと人が立っている。おかしいな、と思って近づいてみたら……消えちゃった」
「蜃気楼だったんだね」

[3]
「僕たちは実力がない。だからネタを考えた。12時、1時、2時……そしたら寝た」
「そういうことって、あるよね」

[4]
「僕の高校に教育熱心な先生がいましてね。夏休みに合宿、冬休みに合宿、春休みに合宿と頑張っていたんだ。おかげで卒業式の頃には、子供が3人もいたんだ」
「聖職(生殖)っていうからね」

[5]
「親父が枕元に立って『お前には俺の血が流れている』っていうんだ」
「うん」
「すると、親父が鼻血を垂らしてて、首筋に血が流れていたんだ」
「そういう事ってあるよ。俺も親父に『お前には俺の血が流れている』って言われたんだ」
「うん」
「すると、親父が首筋にむしゃぶりついてきて、牙を立て血を吸い始めたんだ」
「スキンシップだね」

[6]
「『踏んだり蹴ったり』という諺知ってる?」
「うん」
「あれ、踏んだり蹴ったりじゃ別に困らないだろう。踏んだり蹴られたりじゃないの?」
「わかった。きっとそうだ」
「ナニ?」
「ウンコ踏んだり蹴ったり」

[7]
「そういったわけで、象さんの」
「ポットです」
「もう飽きちゃったね」
「この名前飽きちゃったね」
「幾つか考えたんだけど、一番受けた名前に改名しようか」
「いいね。やってみようか」
「そういったわけで、タイガーの」
「ジャーです」(けっこう笑)
「飛躍がないね」
「二番煎じですね」
「じゃあ、こういうのは、どう。犬印の」
「妊婦帯です」
「飛躍したけどね」
「わからないね」
「偉大なる王選手にあやかってみようかと」
「それは良い考えだね」
「黒屋万年堂は」
「お菓子のホームラン王です」
「ちょっととちっちゃいました」
「僕は、有名人から名前を借りてみました」
「ライト」
「兄弟です」
「似合わないな」
「似合わないよね」
「誰もが忘れない名前なんかいいんじゃないかな」
「標語なんかいいかもね」
「そういったわけで、戸締まり用心」
「火の用心です」
「発想は良かったんだけどね」
「借り物だね。僕は、漫才界の偉大なる先輩、獅子てんや・瀬戸わんや師匠にあやかってみようと考えてみました」
「そういったわけで、獅子十六と」
「瀬戸の花嫁です」
「よくわからないね」
「ぜんぜんわからないね」
「実は最初から変える気なんかないんですけれどね」
「それなりに気に入っているしね」
「そういえば、もうすぐ秋ですね」
「秋が来ると冬が来て、冬が来ると春が来て、春が来ると夏が来て、夏が来ると秋が来るんですよね」
「なんか、飽きちゃったね」
「飽きが来ると冬が来て、冬が来ると春が来て、春が来ると夏が来て、夏が来ると秋が来るんですよね」

[8]
「今回は有名なCMについて考察してみたい」
「まず最初はこれです」
「ナボナはお菓子の」
「ホームラン王です」
「これは王選手だからいいんだよね」
「王選手がホームランを打って、ベースを一周して最後にナボナを受け取り、お菓子のホームラン王」
「これが他の選手だったら違うね。例えば土井選手だったら」
「ナボナはお菓子の」
「送りバントです」
「地味だよね」
「これじゃ売れないね」
「間違っても広岡選手とかは使えないね」
「そうだね」
「ナボナはお菓子の」
「三遊間をゴロで抜ける当たりがない守りです」
「何を言っているかわからないね」
「次はこのCM。パンシロンで」
「パンパンパン」
「これはパンパンパンって三回言っているからいいんだよね」
「その通りですね。ここは三回じゃなきゃいけない」
「例えば、パンシロンで」
「パン」
「間が抜けていますね」
「そうですね」

[9] (象さんのポットのこわーい話)
「ある夜、部屋で寝ていると、窓から子供がすーっと通り過ぎていった。へんだな。おかしい。こんな夜に。しかもここは二階だ。おそるおそる窓から覗いてみると、そこには、子供が3mの竹馬に乗って歩いていた」
「不良少年だね」

[10] (象さんのポットのこわーい話)
「雪山で遭難しちゃったんです。困った。どうしよう。そこで目の前にあらわれたのが、髪の長い、白い和服を着た女の人。よかった。助かった。泊まらせてください、っていうと、「どうぞ」と言った。女の人の後を歩いていったけれど、おかしい。もしかしたらこの女の人、雪女じゃないか。怖かったけれど、寒かったので着いていった。家に辿り着いたけれど、家の周りにはこーんなにでかい足跡があった。まずい。もしかして。怖かったけれど、寒かったので着いていった。家の中に入ってみると」
「だいたい予想が付きますけれど、どうだったんですか」
「霜焼けで足をこーんなにふくらました旦那さんがいました」
「…………」
(呆れたように立ちつくす。ずーっと立ちつくす。いつもより長い間。観客からも笑い声。そこで相方が堂々と耳打ち。観客、大笑い)
「肩すかしだね」
「ちゃんちゃん」

[11]
「うちのオジサンね。朝から晩まで身を粉にして働いてんのに全然お金無いんだよね。ビンボウ暇なしだね」
「ビンボウ暇なしって事はないよ」
「どうして?」
「暇が無いって事は働いているんだから、お金が入ってくるんだよ」
「でも本当にお金ないぜ」
「本当に?」
「うん」
「・・・・・・君のオジサンいったい何やっているの?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ドレイ」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

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